ギックリ腰になったら知っておきたい対処法まとめ

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急に腰に激痛がはしり身動きがとれなくなる。

いったい何が起こったのか理解するまでに時間がかかる。

あまりの痛さに不安と恐怖を感じながら、とにかく楽な姿勢を探す。

ギックリ腰は場所も時間もかまわずに襲ってくる。

発症するきっかけもさまざまだ。

ここでは、そんなやっかいなギックリ腰の対処法を詳しくご紹介します。

突然ギックリ腰に襲われてもギックリ腰の正しい対処法を知っていれば、もうパニックになることはありません。

 目次

1. ギックリ腰とは?

1−1. ギックリ腰(急性腰痛)と慢性腰痛の違い

1−2. ギックリ腰の原因

  • 1−2−1. ギックリ腰とくしゃみ
  • 1−2−2. ギックリ腰とストレスの関係

1−3. ギックリ腰はどのくらいで治るのか

2. ギックリ腰になったら初めにチェックすること

2−1. ギックリ腰になったら注意しなければいけない症状

2−2. ギックリ腰になったら病院に行くべきか?

3. ギックリ腰を早く治すための 治療法と応急処置

3−1. ギックリ腰になったときのセルフケア

  • 3−1−1. ギックリ腰と読書療法
  • 3−1−2. ギックリ腰になったら安静にしない
  • 3−1−3. ギックリ腰になったら冷やす? 温める?
  • 3−1−4. 運動療法とストレッチ

3−2. ギックリ腰になったときの薬物療法(市販薬)

  • 3−2−1ギックリ腰になったときに使用する代表的な市販薬

3−3. ギックリ腰と補完代替医療

4. ギックリ腰の予防

5. ギックリ腰対処法 まとめ

 

1. ギックリ腰とは?

 ギックリ腰には、急に激痛を感じるものから、徐々に痛みが強くなるもの、ゆっくり歩ける程度のものから、少し動いただけで激痛がはしり、身動きできないものまで幅広くある。

そもそもギックリ腰とは何なのか?その疑問から解明していこう。

1−1. ギックリ腰(急性腰痛)と慢性腰痛の違い

 腰痛には急性腰痛と慢性腰痛があり、急性腰痛のことを一般的にギックリ腰と呼ぶ。まずは、急性腰痛と慢性腰痛の違いを見てみよう。

世界各国の腰痛診療ガイドラインでは、発症後の期間によって急性腰痛と慢性腰痛を分類している。

意外に思うかもしれないが、症状の種類や痛みの強さ、痛くなる部位などとは無関係だ。

  • 急性腰痛ー発症後6週間未満の腰痛
  • 亜急性腰痛ー発症後6週間〜12週間(3カ月)未満の腰痛
  • 慢性腰痛ー発症後12週間(3カ月)以上持続している腰痛

ここでは、急性腰痛に亜急性腰痛を含めた期間、つまり、発症後3カ月未満の腰痛のことをギックリ腰ということにする。(3カ月以上無症状の期間をあけて再発した場合も含む)

1−2. ギックリ腰の原因

 どんなに耐えがたい激痛でも、原因がわかっているのと、わかっていないのでは不安や恐怖のレベルが違う。

どんなに痛くても冷静に対処するためには、ギックリ腰の原因について知ることが大切だ。

1−2−1. ギックリ腰とくしゃみ

 重い物を持った時、咳やくしゃみをした時など、ギックリ腰になるタイミングは人それぞれだ。

  • 咳やくしゃみをしたとき
  • 重い物を持ちあげたとき
  • 歯を磨いているとき
  • 寝返りをしたとき
  • 無理な姿勢をしたとき
  • 中腰の姿勢や屈んだとき
  • 階段を昇ったとき

など、いろいろあるが、これらは、ギックリ腰の原因ではなく、単なるきっかけに過ぎない。

ギックリ腰は、突然ギックリ腰になるのではない。

もうすでに、ギックリ腰になる状態でスタンバイしていたのだ。

時限爆弾がセットされ、爆発する瞬間を待っているようなものだ。

そのスイッチが、咳やくしゃみだったということだ。

最後の一滴で、いっぱいに溜まったコップの水が溢れるように、最後の一滴が、たまたま物を持ち上げた瞬間だったにすぎない。

歯を磨いたり、くしゃみをするたびにギックリ腰になっては大変だ。

1−2−2. ギックリ腰とストレスの関係

 ほとんどの腰痛の原因は未だに不明ということになっている。

原因が不明といっても全く見当がつかないということではない。

今まで腰痛の原因とされてきた椎間板ヘルニアや椎間板の変性が、腰痛とは無関係ということがわかった。

これにより、レントゲンやMRIなどの画像検査では写らないものが腰痛に関与しているということになる。

ここで言う「画像には写らないもの」とは、心理的ストレスのことだ。

あまりピンとこないかもしれないが、ストレスで胃が痛くなった経験がある方は、痛くなる場所が胃ではなく腰になったとイメージすれば理解しやすいかもしれない。

そこで、ギックリ腰になったら、痛くなった瞬間の動作に注目するのではなく、痛くなるまでの期間、つまり、ギックリ腰の潜伏期間の心理状態に注目してほしい。

仕事や家庭、身のまわりの出来事や環境の変化、プレッシャーや心配ごとなどを思い出してみると心あたりがあるかもしれない。

毎年同じ時期にギックリ腰になる人は毎年同じ時期に同じようなストレスを抱えてはいないだろうか?

ここでお伝えしたいことは、一旦、腰という体の問題から離れて、少し視点を変えてほしいということだ。

腰を構成している部品の一部が壊れたり、腰痛ウイルスに感染したから腰が痛くなるわけではない。

どんなに強烈なギックリ腰でも腰椎が破損した訳でも、筋肉が断裂した訳でもない。

ギックリ腰は何の痕跡も残さずに去っていく。

詳しくは体の「痛み」と心の緊張という記事を参考にしてほしい。

 

1−3. ギックリ腰はどのくらいで治るのか

ギックリ腰を発症後3カ月未満の腰痛としたが、実は、そのほとんどは発症後2週間〜1ヶ月以内に自然に回復する。

 

急性腰痛患者の86%は2週間以内に自然治癒

Deyo Ra & Tsui-Wu YJ.Spine.1987

 

ここで注目してほしいのが、自然治癒という言葉だ。

ギックリ腰になったからといって特別に何かをする必要もない。

すり傷ができたとしても勝手に血が止まり、やがて、かさぶたができ、数日後に治るのと同じように、自分の体が自然に治してくれるということだ。

2. ギックリ腰になったら初めにチェックすること

ほとんどの腰痛が2週間〜1ヶ月以内に回復するということや、心理的ストレスが関与しているということをお伝えした。

しかし、ごく稀なケースではあるが例外もある。それが、危険な腰痛だ。

ここでは、見逃してはいけない危険な腰痛の見分け方をご紹介する。

2−1. ギックリ腰になったら注意しなければいけない症状

ギックリ腰の症状は痛みの程度の軽いものから強いものまでさまざまだ。

ひどい時には身動きもとれない状態が続く。

また、徐々に痛みが強くなるものから、急激に痛みのはしるもの、吐き気や発熱、腹痛を伴うものもある。

実は、腰痛には放っておくと危険な腰痛というものが存在する。

全腰痛患者の1〜5%というごく少数だが、命を脅かしたり、緊急手術を要するものだ。

危険な腰痛の可能性がある症状をレッドフラッグという。いわゆる危険信号だ。

レッドフラッグとは

  • 悪性腫瘍(がん)
  • 脊椎感染症
  • 馬尾症候群
  • 椎体圧迫骨折
  • 強直性脊椎炎

などの可能性がある危険なサインだ。

主な症状に、安静にしても痛みが軽減しない、楽な姿勢がない、発熱が続く、原因不明の体重減少 などがある。

腰が痛くなったらまずはレッドフラッグの有無をチェックすることが大切だ。

危険な病気の可能性を無くして安心することも重要な治療のひとつと考えよう。

レッドフラッグについては危険な腰痛の症状と腰痛になったらチェックすべき5つの原因という記事で詳しく説明しているので参考にしていただきたい。

2−2. ギックリ腰になったら病院に行くべきか?

ギックリ腰になったら病院に行くべきか?と言われたら「行くべき」である。

通院するかしないかは別として、危険な腰痛の可能性が無いことを確認するために行くべきだ。

痛くて病院に行けない状態でも、まずはレッドフラッグの有無をチェックしよう。

そして、いくつか当てはまるようなら、できるだけ早く病院に行くことをお勧めする。

病院の診察の結果、「骨に異常はありません」「上手く付き合ってください」「しばらくは安静にしてください」「心配ありません」このようなことを言われたら、危険な腰痛ではななく、自然に回復する安全な腰痛ということになる。

ちなみに、病院では薬を使う薬物療法だけではなく、保存療法もあるが、効果には個人差がある。

牽引は腰痛や神経根症状に対して効果はない。

腰部コルセットやサポートベルトが急性腰痛の治療に有効だというエビデンス(科学的根拠)はない。

慢性腰痛に対するトリガーポイント注射の有効性は不明確であり、特に急性腰痛に関するエビデンス(科学的根拠)はほとんどない。

ENS(経皮的神経電気刺激:低周波治療器)が急性腰痛患者に有効だというエビデンス(科学的根拠)はない。

Clinical Guidelines for the Management of Acute Low Back Pain 

3. ギックリ腰を早く治すための 治療法と応急処置

いくら危険な腰痛の可能性がなく、自然に回復する痛みだとわかっていても、痛いものは痛い。

ここでは、痛みを和らげ、少しでも早く治すための方法についてご紹介する。

3−1. ギックリ腰になったときのセルフケア

ギックリ腰を長引かせないためにも、セルフケアは特に重要だ。

間違った対処をしないためにも、じっくり読んで実行していただきたい。

3−1−1. ギックリ腰と読書療法

なじみのない言葉かもしれないが、読書療法とは、腰痛に関する本や小冊子などを読んで正しい知識を身につけるということだ。

ギックリ腰についての正しい情報を知れば、必要以上に不安になることはない。

不安や恐怖をあおるTV番組や本もあるが、そういったものには気をつけよう。

健康になるどころか、不安や恐怖が症状をさらに悪化させる。

3−1−2. ギックリ腰になったら安静にしない

「ギックリ腰には安静が第一」この言葉は、痛くて身動きがとれない人、つまり、安静にせざるをえない人以外には言わないように注意しよう。

優しさから出た言葉が、逆にギックリ腰の回復を遅らせる結果になってしまうからだ。

急性腰痛にとっては長期間の安静臥床(安静に寝ている)よりも、痛みの許す範囲内で徐々に日常生活に戻る方が効果的(確証度B)

4日以上の安静臥床は筋力低下を招くために急性腰痛の治療として推奨できない(確証度B)

AHCPR Clinical Practice Guidelines, No. 14 S Bigos, O Bowyer, and G Braen.

 安静にしていれば早く回復するという根拠はどこにもない。

できるだけ早く日常生活に戻った方がいいということだ。

日常生活に戻るということは、仕事もできるだけ早く復帰した方がいいということだ。

できれば、職場にも協力してもらい、できることから始めてみよう。

じっと自宅で安静にして痛みに注目していても余計に痛みは増すばかりだ。

3−1−3. ギックリ腰になったら冷やす? 温める?

 ギックリ腰は冷やした方がいいのか?温めた方がいいのか?という疑問について考えてみよう。

参考までにこのような研究報告がある。

ホットパックや電気毛布などの温熱療法は、急性腰痛の症状を一時的に和らげる。寒冷療法が有効だという科学的根拠はない。

Ftench SD et al.Cochrane Database Syst Rev.2006

冷やすというのは、一時的に体の感覚を鈍くする。

痛いという感覚を一時的にストップさせることはできるかもしれないが、それ自体に治す力はない。

温めるというのは、血行を良くしたり、筋肉の緊張を和らげる。

血行が良くなるときに、一時的に痛みが増すこともあるが、自然治癒力を高めるという意味では効果があるかもしれない。

結論としては、冷やすにしろ、温めるにしろ一時的に痛みが軽減されるのであればどちらでもよい。

痛みが和らいでいる間に体を動かし、できるだけ安静を避けることの方が重要である。

3−1−4. 運動療法とストレッチ

 ギックリ腰と運動療法:急性腰痛に対して運動療法が有効というエビデンス(科学的根拠)はない。

急性腰痛は、できるだけ安静にしないことと、1日でも早く日常生活に戻ることを優先しよう。

 

急性腰痛患者363名を対象に標準的治療群、運動療法群、シャム(疑似治療)群に割り付けて1年間追跡したRCTによると、腰痛による欠勤率は運動療法群が最も高く、シャム群が最も低かった。急性腰痛に対する運動療法は無効。

A randomized trial of exercise therapy in patients with acute low back pain. Efficacy on sickness absence. Faas A,van Eijk JT,Chavannes AW,Gubbels JW

ギックリ腰とストレッチ: 急性腰痛にはストレッチをするよりも日常生活の維持を心がけた方が有効だという研究報告がある。

これにより、体の柔軟性と腰痛には関連性がないということがわかった。

また、ストレッチをしたから治りが遅くなるということではなく、日常生活を維持する方が有効だということ。

急性腰痛患者186名を対象に2日間の安静臥床群、ストレッチ群、日常生活群に割り付けたRCT(ランダム化比較試験)によると、ストレッチ群は安静臥床群より欠勤日数が少ないものの日常生活群には及ばないことが判明。急性腰痛の特効薬は日常生活の維持。

The treatment of acute low back pain–bed rest, exercises, or ordinary activity?
Malmivaara A Häkkinen U Aro T Heinrichs ML, Koskenniemi L, Kuosma E, Lappi S, Paloheimo R, Vaaranen V, et al.

急性腰痛に対してストレッチが有効だという証拠は存在しない(確証度D)

AHCPR Clinical Practice Guidelines, No. 14 S Bigos, O Bowyer, and G Braen.

3−2. ギックリ腰になったときの薬物療法(市販薬)

 ここでは、痛みを緩和する応急処置として薬物療法をご紹介する。

薬は、痛みを軽減するだけで、痛みを直接治すものではないということ、副作用があるということを考えた上で使用してほしい。

【薬物療法】

1:アセトアミノフェンは安全性が高く急性腰痛患者の治療に許容できる(確証度C)

2:アスピリンを含むNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)は急性腰痛患者の治療に推奨できる(確証度B)

3:NSAIDには主に胃腸障害の副作用があるため使用にあたっては既往歴・副作用・費用対効果などを考慮する(確証度C)。

AHCPR Clinical Practice Guidelines, No. 14 S Bigos, O Bowyer, and G Braen. 

3−2−1ギックリ腰になったときに使用する代表的な市販薬

アセトアミノフェン 市販薬

  • ノーシン(アクラス)
  • ハッキリエース(小林製薬)
  • バファリン(ライオン)
  • タイレノール(ジョンソン&ジョンソン)
  • 新リングル(佐藤製薬)

NSEIDs 市販薬

  • アスピリン
    バファリンA、バファリンプレミアム、バファリンルナi、バイエルアスピリン、エキセドリンA錠(ライオン)
  • ケロリン(内外製薬)
  • ロキソニン
    ロキソニンS
  • イブプロフェン
    EVEクイック頭痛薬
  • ボルタレン
    湿布薬(インドメタシン、フェルビナク)

鎮痛剤は常用せずに必要最小限の量を必要に応じて服用することが望ましい。

薬を使って痛みを和らげるのは応急処置にすぎない。

痛みが和らいでいるうちに日常生活に戻ることが大切。

3−3. ギックリ腰と補完代替医療

アメリカでは、「腰痛治療で現代医学だけに頼ることはまれ」というほど補完代替医療の比重が大きい。

現在、日本には実にさまざまな補完代替医療がある。

これらは便宜上カテゴリー分けされているだけで、施術方法も理論も千差万別だ。

したがって、ひとまとめにこれはいい、これは良くないと断定することはできない。

数ある補完代替医療から選択する時の目安としては、治療技術は当たり前として、適切なアドバイスをしてくれるところを選ぶといいだろう。

適切なアドバイスとは、決して不安や恐怖を与えるものではなく、安心を与えてくれるものである。

主な補完代替医療

  • カイロプラクティック
  • 針治療
  • マッサージ
  • 整体

4. ギックリ腰の予防

ギックリ腰になったら最も注意しなければいけないことは、再発と慢性化だ。

歯医者さんではないが、あの嫌な痛みを防ぐためには予防が必要だ。

予防といっても、毎日ストレッチをして筋肉を柔軟にするわけでも、筋トレで大腰筋を鍛えるわけでもない。

コップの水が溢れる前に体と心のストレスを少し解放してあげればいい。

腰痛の予防法はいろいろあるが、手軽にできるものとして、呼吸法や軽い有酸素運動をお勧めする。

シンプルに、深呼吸と散歩がいい。

一度ギックリ腰になった人は、腰の張りや違和感でなんとなく前兆を感じることがある。

その時は、体に注目するのではなく、少し視点を変えて心に注目してみることも大切だ。

5. ギックリ腰対処法 まとめ

ギックリ腰になった時に長引かせないコツ

  • 正しい知識を身につけ、不安や恐怖をもたない
  • できるだけ安静にしない
  • 日常生活を維持する

ギックリ腰になったときの対処法とその手順

  1. レッドフラッグの有無を確認するために医療機関で受診する
  2. 温熱療法を試してみる
  3. 薬で痛みを和らげ、普段通りの生活をこころがける

ギックリ腰の予防

  • 自分なりのストレス対処法を見つける

ギックリ腰はインフルエンザによく似ていると思うことがある。

潜伏期間があり、急に発症する。

高熱の代わりに激痛が走り、動くことが困難になる。

毎年、同じ時期に発症する人がいる。 

腰痛のインフルエンザ、ギックリ腰には予防接種も、有効なワクチンも無いが、この記事を最後まで読んでくれたあなたは、きっと腰痛ウイルスに対する免疫力がアップしていることだろう。

どんなに痛く辛くてもギックリ腰は自然に回復する。必要以上に不安になることはない。

冷静に対処して一日でも早く改善していただきたい。

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