腰痛 原因|腰痛の再発と慢性化に影響を与える7つの要因

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腰痛の原因

腰痛の原因としてよく言われているものに腰への負担や姿勢、椎間板ヘルニアなどがある。

重い物を持って腰が痛くなった人は「腰に負担をかけたから腰痛になった」と言い、普段から姿勢の悪い人は「姿勢が悪いから腰が痛くなった」と言う。

腰が痛くて病院に行けば、腰痛症や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など色々な診断名が付けられ「ヘルニアだから腰が痛いんだ」と納得する。

しかし、腰に負担をかけない生活をしたり、姿勢を正したりしても腰の痛みは無くならないし、痛くなる場所も画像検査で異常が見つかったところが痛い訳ではない。

ここでは、そんな原因不明の腰痛に悩まされている方に科学的根拠(エビデンス)をもとに腰痛の原因を詳しくご紹介します。

腰痛の原因を知り、腰痛に対する考え方を変えただけで腰痛を克服した人も多くいます。

じっくり読んであなたの腰痛改善に役立てて下さい。

目次

1. 腰痛に対する考え方の変化

  • 1−1. 今まで信じられていた腰痛の原因
  • 1−2. 腰痛の原因と科学的根拠

2. 腰痛診療ガイドラインにおける腰痛の分類

  • 2−1. 原因の明らかな腰痛と原因が明らかでない腰痛
  • 2−2. 原因不明の腰痛 グリーンライト

3. 心理・行動・環境と腰痛

4. 腰痛を再発・慢性化させる7つの要因

  • 4−1. 腰痛に対する不適切な態度と信念
  • 4−2. 腰痛に対する不適切な行動
  • 4−3. 腰痛と補償問題
  • 4−4. 腰痛の診断と治療の問題
  • 4−5. 腰痛と感情の問題
  • 4−6. 腰痛と家族の問題
  • 4−7. 腰痛と仕事の問題

5. 腰痛の原因まとめ

1. 腰痛に対する考え方の変化

毎年多くの医学論文が発表されるとともに多くの医学論文が淘汰されています。

数年前までは常識とされていたものがいつの間にか変わっていたということは珍しくありません。

例えば、今まで健康に良いとされていた健康法や健康食品が実は逆効果だったなんてことは日常茶飯事です。

現在、医学の進歩に反比例するように腰痛患者は増加しています。

これは、今までの腰痛治療の限界を表しています。

どんなに新しい治療技術を試してみても、どんなに画像検査の精度が向上しても腰痛患者を減らすことはできませんでした。

腰痛に対する考え方が変わるのは必然と言えます。

1−1. 今まで信じられていた腰痛の原因

今まで腰痛の原因と信じられていたものに「腰への負担」というものがあります。 

重い物を持ったり、姿勢が悪いと腰に負担がかかって腰が痛くなるという説です。

腰への負担が腰痛の原因説

  • 重い物を持つと腰痛になる
  • 正しい姿勢をして腰に負担をかけない
  • 腰痛には安静がいい
  • サポートベルトやコルセットで腰の負担を軽くするといい

などがあります。また、病院の診断で骨や神経の異常を指摘され「一生つき合うか、手術するしかない」「老化現象だからしょうがない」と思い込んでしまう人もいます。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄が腰痛の原因説

  • 椎間板がつぶれている
  • 背骨が変形している
  • 神経が圧迫されている
  • 脊柱管が狭くなっている

これらは、画像を見ながら説明される訳ですから説得力があります。

自分の骨の変形が目に焼き付いて忘れられない人も多いと思います。

1−2. 腰痛の原因と科学的根拠

近年、医療の分野では、EBM(科学的根拠に基づく医療)という概念が登場してから、腰痛に対する概念も変化してきました。

医師の個人的な経験や勘、権威者の考え、伝統などに基づいて治療方針を決定していたものを、調査結果の統計をもとに決定するというものです。

科学的根拠とは、膨大ないくつもの臨床試験の結果に基づいて証明されたもののことです。

統計の結果、今まで効果があるとされていたものも実は効果がなかったり、何の根拠もなく信じられてきたということがわかりました。

EBMとは、個々の患者の診療方針を決定するにあたり現時点で最良の科学的根拠を用いること

Sackett DL.et al.BMJ.1996

結論からいうと、腰への負担が腰痛の原因説も、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄が腰痛の原因説も腰痛とは関連性がないという結果になりました。

そして、エビデンス(科学的根拠)を基に世界各国で腰痛診療ガイドラインがつくられていくことになります。

2. 腰痛診療ガイドラインにおける腰痛の分類

欧米を中心に世界各国で作成された腰痛診療ガイドライン(エビデンスを基に作成されたもの)では腰痛を2つに分類しています。

それは、原因を特定できる腰痛と、原因を特定することができない腰痛です。

2−1. 原因の明らかな腰痛と原因が明らかでない腰痛

原因の明らかな腰痛(特異的腰痛)はレッドフラッグと呼ばれ、全腰痛の1〜5%です。

この腰痛の主な原因は、悪性腫瘍(がん)や感染症、骨折です。

その他の95〜99%の腰痛は原因が明らかでない腰痛(非特異的腰痛)になります。

このとき、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎すべり症なども、画像所見と症状が一致するとは限らはないものなので、非特異的腰痛に含まれます。

また、この非特異的腰痛はグリーンライトと呼ばれ、時間が経てば自然に治る自己限定性疾患ということになっています。

レッドフラッグ 

  • 原因が特定できる腰痛(特異的腰痛)
  • 全腰痛患者の1〜5%
  • 悪性腫瘍(がん)、感染症、骨折、馬尾症候群など

グリーンライト 

  • 原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)
  • 全腰痛患者の95〜99%
  • 時間の経過とともに自然治癒

注:レッドフラッグについては危険な腰痛の症状|腰痛になったらチェックすべき5つの原因で詳しくご紹介しているので参考にして下さい。

2−2. 原因不明の腰痛 グリーンライト

グリーンライト(原因が特定できない腰痛)は通常であれば、時間が経てば自然に回復します。

発症後4週間未満の腰痛を急性腰痛と呼びますが、そのほとんどは2週間以内に自然回復します。

ちなみに、4週間以上続く腰痛を亜急性腰痛、12週間以上続く腰痛を慢性腰痛と呼びます。

急性腰痛患者の86%は2週間以内に自然治癒

Deyo Ra & Tsui-Wu YJ.Spine.1987

 

グリーンライトの自然経過

非特異的腰痛
全腰痛患者に占める割合は80〜90%で6週間以内に90%の患者が自然に回復

神経根症状
全腰痛患者に占める割合は5〜10%で6週間以内に50%の患者が自然に回復

Fry pyre JW.N Engl J Med.1988

今までこのグリーンライト(原因が特定できない腰痛)に対して腰の負担を減らす、骨の異常を手術で治すというアプローチを続けてきました。

その結果、腰痛の再発率・慢性化率は上昇し、医療費の負担は増え続けています。

人間工学的介入によって腰部損傷を予防できるという概念を捨てる時である。我々は60年間、腰部損傷という概念と共に生きてきたが、それはあまりにも欠陥が多いために、もはや正当化することはできない。しかも腰痛を医原性にしてしまう。

Nortin M. Hadler MD.Occupational Musculoskeletal Disorders

3. 心理・行動・環境と腰痛

注:ここからは、グリーンライト(原因が特定できない腰痛)を腰痛と表記します。

膨大な調査研究や臨床データに基づいて腰痛を分析すると、今まで腰痛の常識とされていたものが根拠のないものだったことがわかってきました。

腰痛を単なる腰の損傷という考え方では説明がつかなくなってきたのです。

健常者の椎間板をMRIを5年間観察した結果、重い物を持ち上げる・重い物を運ぶ・体をひねる・体を曲げるといった従来の危険因子の影響を受けていない。

Elfering A.et al.Spaine.2002

 

MRI所見と職業・腰痛との間に関連はなく、健常者の32%に異常所見が認められ、腰痛経験者の47%は正常所見

Savage RA.et al.Eur Spine J.1997

そして、多くの調査結果から、腰痛の発症率・再発率・慢性化率には心理社会的因子が関係しているということが指摘されるようになってきました。

腰痛には、心理・行動・社会環境などが関係しているというものです。

これらの要因が複雑に絡み合って腰痛を発症させたり、自然治癒を妨げたりしているのです。

15研究をレビューした結果、力学的因子より心理社会的因子(仕事の要求度が高い・仕事の満足度が低い)が筋骨格系疾患の痛みと慢性化の予測因子

Macfarlane.GJ.et al.Ann Rheum Dis.2009

そして、心理社会的因子をイエローフラッグと呼びます。

また、心理学的・行動学的因子のことをイエローフラッグ、社会的・経済的因子をブルーフラッグ、職業的因子をブラックフラッグと分けて呼ぶ場合もあります。

腰痛の原因を腰の異常や腰の使い方といった物質的な捉え方ではなく、心理社会的因子という視点で捉えるようになったことでことで腰痛の概念は大きく変化しました。

目に見えないものが腰痛の原因だったということです。

患者は損傷に苦しんでいるのではなく、イエローフラッグ・ブルーフラッグ・ブラックフラッグに苦しんでいる

Ulnverslty of Huddersfield, Tackling Musculoskeletal Problems, 2009

4. 腰痛を慢性化させる7つの要因

自然に治るはずの腰痛が何ヶ月も続いたり、何度も再発する場合があります。

慢性腰痛と呼ばれるもので、色々な治療を試しても何年も腰痛が改善しないという人もいます。

腰痛歴が長い人ほど多くのイエローフラッグの影響を受けている可能性があります。

腰痛を再発・慢性化させるイエローフラッグは主に、不適切な態度と信念・不適切な行動・補償問題・診断と治療の問題・感情の問題・家族の問題・仕事の問題があります。

4−1. 腰痛に対する不適切な態度と信念

これは、腰痛に対する誤った思い込みが腰痛を慢性化させるというものです。

痛みを恐れて痛みを回避する行動をとったり、痛みが完全に消えなければ日常生活や仕事に戻れないという思い込みがある人は注意が必要です。

腰痛に対する過度の恐怖心や不安、回避行動は腰痛の改善を遅らせます。

18研究をレビューした結果、耐えられる範囲内で日常生活を続けると職場復帰が早くなるだけでなく、慢性化も防ぐこともでき、再発率も低下させられる

Waddell G.et al.Br J Gen Pract.1997

4−2. 腰痛に対する不適切な行動

腰痛に良いと思ってとった行動が逆効果になる場合があります。

長期の安静や必要以上の休息をとっている人は注意が必要です。

安静は腰痛の回復を遅らせるという論文はあっても、腰痛に安静がいいというものはありません。

腰が痛いと日常生活もつらく、だんだん活動レベルが低下していきます。

何でも腰が痛いからという理由で動かない生活を続けていては腰痛を改善することはできません。

39研究をレビューした結果、安静臥床によって何らかの利益が認められた研究はひとつもない

Allen C.et al.Lancet.1999

4−3. 腰痛と補償問題

これは、腰痛で補償請求をしている人、補償の恩恵を受けている人の場合です。

経済的に困ることがなく、職場に復帰する意思がない人や障害補償の給付手続きが難航している人などが当てはまります。

本人に自覚がなくても、腰痛が治ると困るというタイプの人です。

4−4. 腰痛の診断と治療の問題

病院に行ってから痛みが強くなった人もいるかもしれませんが、不適切な診断と治療によって腰痛が治らないことがあります。

これは医原病の腰痛といえるでしょう。それだけ医師の発言や態度は影響力が大きいということです。

  • 機能回復を目指す治療は行なわずに安静を指示された
  • 腰痛に関して異なる診断や説明を受けて混乱した経験がある
  • 絶望感と恐怖心をいだかせる(車椅子生活を連想させるような)診断名を告げられた
  • 受け身的な治療を続けているうちに治療への依存心が強くなり、腰痛がさらに悪化している
  • 昨年、今回の腰痛以外の問題で何度か医療機関を受診している
  • 身体を機械のように考えていて、その修理を求めるような技術的な治療法への期待感がある
  • これまで受けてきた腰痛治療に対して不満がある
  • 仕事をやめなさいというアドバイスを受けたことがある

4−5. 腰痛と感情の問題

これは、長期間にわたる気分の落ち込みがあり、楽しいと思えることがない人や不安が強い人など、ネガティブな感情が痛みと関係しているというものです。

腰痛に限らず、ネガティブな感情は筋骨格系疾患の痛みに影響を与えます。

4−6. 腰痛と家族の問題

家族の問題は、配偶者やパートナーが過保護である、あるいは痛みに対する恐怖心をあおったり、絶望的な気持ちにさせたりする(たいていは善意からのもの)や仕事を代わりにしてくれるなど、配偶者やパートナーが熱心に気遣ってくれるなどがある。

善意で、安静や休息をすすめたり、職場復帰を遅らせたりすると逆に腰痛を慢性化させることになります。

また、本人のためと思って言ったアドバイスが不安や恐怖を植え付ける場合もあります。

医師の発言と同じように、家族の発言の影響も大きいということです。

4−7. 腰痛と仕事の問題

仕事と腰痛の関係は多くのエビデンス(科学的根拠)で指摘されていて、ストレスの多い仕事、不満のある仕事、同僚や上司との関係がうまくいかない、やりがいのない仕事などがあります。

その他に、仕事は腰にダメージを与え、危険で有害なものだと信じ込んでいる人などが腰痛を慢性化させやすいといえます。

注:職業上の腰への負担や姿勢が腰痛に関連しているわけではない

働いている人にとって、一日の中でも仕事をしている時間は大きなウエイトを占めています。

その仕事の満足度が低かったり、職場の人間関係に問題があればストレスも蓄積されて当然といえます。

特に責任感が強い人や責任の重いポストにいる人は要注意です。

ほとんどの腰痛は元来、仕事に関連したものではなく、腰への負担や問題となる作業中の姿勢を減らしてもわずかな影響しかない。事実、職業上の身体的負荷が大幅に減少したにもかかわらず、腰痛の発症率および活動障害は減少していない。

Burton AK.Erg E.Spine Phila Pa 1976 

 

人員削減対策で事業規模を縮小した起業で働く労働者は、仕事量の増加・ストレスの増大・健康状態の悪化・腰痛や筋骨格系疾患の増加・早期死亡リスクの増加といった問題に直面する

Kivimaki M.et al.AM J Community Psychol.2003

参照 Guide to Assessing Psychosocial Yellow Flags in Acute Low Back Pain,2004

 5. 腰痛の原因まとめ

  1. 腰への負担や画像所見に原因を求めた結果、腰痛患者と医療費は増加
  2. 医師の個人的な経験や勘ではなく、科学的根拠で客観的に腰痛を分析
  3. 腰痛には、原因が明らかな腰痛と、原因が明らかでない腰痛がある
  4. 全腰痛の95〜99%は原因が明らかでない腰痛
  5. 原因が明らかでない腰痛には心理・行動・環境が影響している
  6. 腰痛の再発・慢性化には、不適切な態度と信念・不適切な行動・補償問題・診断と治療の問題・感情の問題・家族の問題・仕事の問題が関与

多くの臨床試験や調査データにより、今までの腰痛概念が実は根拠のないものだということが明らかになりました。

ただし、エビデンス(科学的根拠)も、全ての腰痛に当てはまるという絶対的なものはありません。

統計を基に「このような傾向がある」と数字で表したものです。

痛みとは主観的なものです。

痛みの強さや感じ方は本人にしかわかりません。

科学的根拠という客観的データを個々の腰痛患者にどう活かすかは治療者次第です。

現在、腰痛の原因はこれだという絶対的なものはありません。

しかし、腰という物質ばかりに目を向けていては腰痛は改善しないということが明らかになりました。

感情や環境を変えることは難しいかもしれませんが、腰痛に対する知識を深めることで過度の不安や恐怖を無くすことができます。

根拠の無い不安や恐怖を植え付ける情報に振り回されることなく、あなたの腰痛が一日でも早く改善されることを願っています。

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