Mr.Xの告白〜痛みのミカタ in OSAKA 資料~

ご無沙汰しております。Mr.Xです。

痛みのミカタにご参加頂いた皆様、有り難うございました。

ごちらが「Mr.Xの仮説」の資料です。ご自由にお使いくださいませ。

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告白します。私、Mr.Xは重大なミスを犯してしまいました…

今回の私のテーマは常識の破壊と新しい世界観の創造でした。

ここでいう常識というのは業界の常識であります。

具体的には主に腰痛に関するエビデンス(科学的根拠)、フラッグ・システム(腰痛の生物・心理・社会モデル)であります。

この生物・心理・社会モデルは世界各国の腰痛診療ガイドラインの軸となる概念であります。

この概念の先にあるミカタを皆さんにお伝えするというのが今回のMr.Xのミッションでありました。

常識のズレ

しかし、この概念、業界の常識というのは、私の周りの治療家にとっての常識だったのです!?

そのことが発覚したのが、セミナー開始直前であります。

何よりも先に、先ずこの概念をお伝えするべきでした。

本当に申し訳ございません。

ということで、その概念を少し補足させていただきます。

EBMの登場

1991年、医学会にEBMという考え方が登場しました。

EBMというのはEvidence-Based Medicineの略で、根拠に基づく医療ということであります。

ここでいう根拠とはエビデンス(科学的根拠)のことです。

簡単にいうと、今まで一部の権威者などの個人や一部の人間によってつくられた医療業界の常識を統計調査等によって科学的に再評価しようという革命的な動きであります。

なぜなら、従来の医療モデルである生物・物理・構造的損傷モデルでは腰痛患者を減少させることができなかったからであります。(腰痛だけではありませんが…)

腰痛患者による膨大な医療費を削減するために世界各国が国家的に動かざるをえない状況になったのであります。

その結果、従来の腰痛常識は覆され、劇的な腰痛概念の転換が起こったのであります。

腰痛概念の転換

主な腰痛概念の転換は…

1. 腰痛は心理社会的疼痛症候群である

2. 腰痛は自己限定性疾患である

※レッド・フラッグ(骨折、感染症、腫瘍、馬尾症候群など)を除く

腰痛の再発と慢性化に影響を与える7つの要因参照

3.安静は腰痛の回復を妨げる

ギックリ腰になったら知っておきたい対処法まとめ参照

などであります。

また、調査研究の結果、画像所見と腰痛は関連性がないということが明らかになったのであります。

20~80歳までの腰痛未経験者67名を対象にMRIで腰部椎間板を分析した結果、21~36%に椎間板ヘルニアが、50~79%に椎間板膨隆が、34~93%に椎間板変性が確認されたことから、手術の選択は慎重にすべきと結論。

Boden SD, Davis DO, Dina TS, Patronas NJ, Wiesel SW.J Bone Joint Surg Am. 1990 Mar;72(3):403-8 PMID:2312537

21~80歳までの腰痛未経験者52名を対象にCATスキャンで腰部椎間板を分析した結果、年齢に関わらず35.4%に何らかの異常が検出され、40歳未満の19.5%に、40歳以上の26.9%に無症候性椎間板ヘルニアが確認。

Wiesel SW, Tsourmas N, Feffer HL, Citrin CM, Patronas N.Spine (Phila Pa 1976). 1984 Sep;9(6):549-51.PMID:6495024

椎間板ヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者46名と、年齢、性別、職業などを一致させた健常者46名の腰部椎間板をMRIで比較した結果、健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が確認された。

Boos N, Rieder R, Schade V, Spratt KF, Semmer N, Aebi M.Spine (Phila Pa 1976). 1995 Dec 15;20(24):2613-25.PMID:8747239

この報告では、椎間板に異常が見られない人の方が少数という結果になっています。

故に、椎間板ヘルニアの手術療法も外科医はこのように考えています。

腰痛の原因はいまだに謎だが、椎間板変性を腰痛の原因と考える脊椎外科医は23%のみで、その患者に固定術か椎間板置換術を選択すると答えた脊椎外科医はわずか1%しかいない。もし自分が患者なら99%が保存療法か放置すると回答。

Hanley EN Jr, Herkowitz HN, Kirkpatrick JS, Wang JC, Chen MN, Kang JD. J Bone Joint Surg Am. 2010 May;92(5):1293-304. doi: 10.2106/JBJS.I.01439.PMID:20439681

その他に、腰への負担(力学的因子)、骨盤の歪みなども腰痛との関連性はない等の報告があります。

従来の手術療法、人間工学的アプローチ等の否定だけではなく、代替医療(鍼灸、カイロ、手技等)も明確なエビデンスが得られていないという状況であります。鍼灸はプラセボか?(悪意のある意味で)なんて話も出ています。

今後は認知行動療法等のエビデンスが増加し、腰痛治療の常識となることもそう遠い話ではないかもしれません。

しかし、なぜ心理社会的因子が腰痛のリスクファクターになるのか、なぜ、認知行動療法等に効果があるのかという重要なことがブラックボックスになっているわけであります。

統計調査は数字という目に見えるカタチで結果を表すことはできたのでありますが、なぜそうなるのかという核心を掴むことはできないのであります。

せっかく腰痛概念の革命が起きても、未だに目に見えるものに根拠を見出そうとするところにこの業界の混迷があるわけであります。

我々は、ボケ(科学的根拠・物質)にツッコミ(情動的側面・精神)を入れることによって一段高いレベルでの統合、サイエンスとアートの融合を目指し、追求し、実践する者であります。

まさに、痛みをミルのではなく、人をミルであります。

常識の破壊とは一つのモノに捉われないということであります。

実践型キングパンサーの創造とは、真理、原理原則、不変の法則を追求し、実践に活かすということであります。

サイエンスとアートのイノベーションであります。

それには、ミカタのパラダイム・シフトというものが必要になるのであります。

そして、その先駆け、礎となるのが今回「痛みのミカタ」に参加された皆さんということであります。

以上のことが説明不足であり、私の慢心でありました。

心からお詫びを申し上げます。