「痛み」はどこから来てどこに去るのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「痛み」とは

「痛み」はすべての人が持つ共通認識ではあるが、今まさに痛みに苦しんでいる人や痛みを取り扱う仕事をしている人以外は痛みについて深く考えることもないだろう。

なぜなら「痛み」は自然に消えるからである。

痛みはどこからともなくやって来て、痛みの原因となる証拠も痕跡も何一つ残さずに去っていく。

どんなに激しい痛みであったとしても一瞬で消えてなくなることは珍しいことではない。

そして、次第に記憶から消えていくのである。

怪我による外傷の痛みであろうが、筋肉の疲労による痛みであろうが、病気による痛みであろうが、痛いという意識が他に向くときに「痛み」を感じることはできない。

仕事に集中しているとき、熟睡しているとき、緊迫した状況におかれたときに痛みは一旦消滅する。

「気づいたら痛みを忘れていた。」という経験は誰にでもあることだろう。

忘れるとは意識がそこにないということである。

偉大な哲学者のアリストテレスやスピノザは「痛み」は感覚ではなく「情動」であるとした。

近年ではニューヨーク医科大学リハビリテーション科教授のJohn E. Sarno博士も情動ストレスが痛みを引き起こすのであり、腰痛をはじめとする体の痛みは「注意転換疼痛症候 distraction pain syndrome」(TMS)であるとしている。

現在も腰痛をはじめ慢性疼痛の治療には自律訓練法、認知行動療法などの心理的治療の効果が認められているのである。

また、統計学的調査によるエビデンス(科学的根拠)も「痛み」と心の関係を「数字」として客観的に証明しているのである。

つまり、情動・意識とは心のことであります。

心が「痛み」を創るのであり、物質、肉体が「痛み」を創るのではないのであります。

2000年以上も前に発見された「痛み」の定義が今でも生き続けているのであります。

発痛物質と「痛み」

発痛物質と呼ばれているブラジキニンというものがある。

組織が傷害されると産生される物質である。

このブラジキニンという物質は発痛作用、血管拡張作用を持ち、痛みの感受性を亢進させる。

つまり痛覚を過敏にする物質であります。

ブラジキニンに限らず、この発痛物質というものが痛みの原因であるならば、物事に集中したり、熟睡したり、緊迫した状況におかれたりしたときにこの発痛物質は一時的に減少、または、消滅しているということになる。

或は、痛いという意識が他に向いているときは組織の傷害が治まり、意識が痛みに向いたら組織の傷害が再発するということになるのであります。

意識によって発痛物質の産生が増減したり、組織の損傷が拡大縮小するのでありましょうか。

意識によってそのような物質的変化を伴うのであれば、痛みの大元は意識ということになるのであり、そのような物質的変化がない場合も、意識によって認知されてはじめて痛みを発するのであるからこれも痛みの大元は意識ということになるのであります。

然し、別の角度から見れば、組織の傷害も、発痛物質も存在はするが、伝達機能である神経系や知覚機能である脳が一時的に痛いという感覚を遮断していると考えることができるかもしれない。

仮にそうだとしても、神経系や脳の機能を遮断する作用が意識にはあると認めることになるのであります。

つまり、「気づいたら痛みを忘れていた。」という痛みにおいて、組織の傷害、発痛物質の産生というのは、痛みの原因ではなく、意識、心の作用の結果ということになるのであります。

画像上の症状と「痛み」

未だにレントゲンやMRIなどの画像検査で「画像上の異常」が見つかればそれが「痛み」の犯人だという考えも根強いのであります。

整形外科分野では椎間板ヘルニア、狭窄症、変形性膝関節症、変形性股関節症、臼蓋形成不全など多くの「画像上の異常」「骨の異常」が痛みの原因とされてきたのであります。

しかし、なぜ画像上で異常がある部位ではなく、他の部位が痛みを感じたり、日によって痛みの強さが変わるのかはわからない。

画像上の骨や軟骨の異常箇所が日によって移動したり、異常の程度が変わるのだろうか。

画像上の異常が原因だとすれば、手術で画像上の異常を直せば「痛み」も治るはずである。

膝でも股関節でも人工関節にすれば「痛み」は無くなるはずである。

しかし、手術をしてもますます痛むという人もいるのである。

手術が成功しても…右の膝を人工関節にすれば左の膝が痛み、左の膝を人工関節にすれば股関節が痛むという人もいる。

これでは痛む部位が移動しただけではないか!

腰痛分野では、健康(無症状)な人の76%に椎間板ヘルニア、85%に椎間板変性が存在していたという有名な研究調査がある。

これは、画像上の異常、骨の異常が「痛み」の原因ではないということを証明するエビデンス(科学的根拠)であります。

「痛み」の研究

「痛み」は誰もが日常的に体験し、誰もが知っているものの、誰もその正体を見たことがないのであります。

筋肉の緊張、サ−モグラフィー(体温)、血圧や脈拍を計測して数値にすることはできても「痛み」そのものを数値として確認することはできない。

また、ペインスケールという痛みの程度を表すものもあるが、これもただ自己申告に基づいて「痛み」を数値に表したものにすぎない。

見ることもできず、数値にすることもできない実態のない「痛み」というものを何とかして見ようとしたものが、統計学的調査に基づいたエビデンス(科学的根拠)と呼ばれているものであります。

腰痛分野では、このエビデンスによって今まで腰痛の常識とされていたものがことごとく覆される結果になったのであります。

統計調査の結果、明確になったことは

・脊椎の異常、ヘルニアなどの「画像上の腰痛」と腰の「痛み」は関係がないということ。

・重いものを持つ、腰に負担のかかる姿勢をするなどの「肉体的負担」と腰の「痛み」は関係がないということ。

つまり、今まで常識とされていた骨の変形や損傷などの生物学的問題、腰への負担という人間工学的な問題と腰の「痛み」は関連性がないということが客観的な事実によって明らかにされたのであります。

そこで、腰痛と関連性があるものとして「数字」に表れたのが心理・社会的因子であります。

心理・社会的因子、つまり、感情や思考が「痛み」に影響しているということであります。

膨大な統計調査は、「痛み」に対する不安や恐怖、思い込み、日常生活における不満、悩みなどが「痛み」を引き起こし、長引かせる要因であるということを科学的、客観的につきとめたのであります。

心因性の腰痛、ストレスによる腰痛、原因不明の腰痛と呼ばれるものがこれにあたるのであります。(全腰痛の95~99%と言われている非特異的腰痛)

さらには、なぜストレス、感情、思考によって痛みが強くなったり、慢性化するのか、どうすれば治癒するのかということまで明らかになっているのです。

簡単に説明すると

  1. 不安や恐怖・怒り・悲しみなどの感情が脳(側坐核)の機能を低下させドーパミン、エンドルフィンといった「痛み」をコントロールするホルモンの分泌量を低下させる。
  2. 脳(側坐核)の機能を活性化させるには、不安や恐怖・怒り・悲しみなどの感情をなくすことが必要であり、「痛み」をコントロールするホルモンの分泌量を増加させるには幸福感を高めることが有効である。(エンドルフィンの別名はハッピーホルモン)
  3. 幸福感を高め、ホルモンの分泌量を増加させるためにもっとも効果的なのは「感謝の念を抱く」ことが複数の研究により明らかになった。

何十年も膨大な研究調査を重ねて科学的に分析した結果、腰痛の原因は感情、つまり「心」であり、もっとも効果のある治療法は「感謝する心」という結論に至ったわけであります。

これは何も腰の「痛み」に限定して考える必要はないのでありまして、腰痛には感謝、頭痛にはまた別の感情が必要というわけではないのであります。

人間を部分的(パーツ)に別け、ミクロ的な視点で考えるところに今までの誤りがあったわけですから、なにも「痛み」を細かく部位ごとに分ける必要はないのです。

筋骨格系の痛み、肩こり、首痛、股関節痛、膝痛などは「痛み」のある部位が違うだけで痛みの本質は同じなのであります。

さらには頭痛、胃痛、神経痛などの「痛み」であっても同じことがいえるのであります。

不安や恐怖・怒り・悲しみなどの感情が痛みをつくり、感謝、幸福感が痛みを癒すのであります。

心が「痛み」をつくり、心が「痛み」を癒すのであります。

幸福感を高める感謝、笑い、明るい心、平和な心、愛のあるコトバというものが「いのちの力・自然治癒力」を十分に発揮させる燃料となるのです。

感謝の心が「痛み」や病を癒したという例は人類の歴史とともにあり、今さら実例を語る必要もないのであります。

「心の痛みが癒えれば体の痛みは自然に癒える」ということは誰もが潜在的に知っている真理であります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

体の「痛み」のこと。不安なこと。気軽にご質問ください。LINEで24時間受付中です。

LINEでのご質問、ご相談はこちら↓

LINEで質問する

コメント

コメントを残す

*